建築系

WORKS

新たな需要に応え、未来を形にする施設づくり

~LCCの台頭により、大きな成長を見せる航空需要。
その成長を支え、成田空港を更に発展させるチャンスとするためのターミナル整備~

細部まで工夫を凝らし、ローコストを実現した成田空港初のLCC専用ターミナルの整備

世界的に航空需要が高まる中、サービスよりも価格を重視する傾向が強くなり、LCCが大きな成長を見せていた。ニーズが高まるLCCを成田空港へ呼び込むには、旅客だけでなくエアラインにとっても魅力的な施設が必要となる。低価格な航空運賃を実現させるため、施設の整備・維持管理費により設定される施設使用料や、サービス利用料を低減することができる「LCC専用のローコストターミナル」の整備が求められた。

整備コストを削減するため、出発旅客と到着旅客の動線をまとめて延床面積を減らしたコンパクトな施設計画とし、天井はボードを施工しないスケルトン仕上げとするなどの工夫を施した。また、鉄道が乗り入れている第2ターミナルから徒歩で10分以上の距離に計画されたため、移動を楽しく感じてもらいながら、分かりやすい案内となるように、床面に陸上用トラックのデザインを取り入れた。

2015年に供用を開始した第3ターミナル(T3)は、LCC需要の盛んな伸びを受け、2年後には取扱能力を超える旅客数が利用するようになった。

需要の伸びに合わせた柔軟な拡張計画により選ばれる空港へ

旅客が増えた出発ロビーでは、出発旅客と到着旅客の動線が交錯するため混雑が顕在化するようになり、運用へ支障をきたすだけでなく、利用者の満足度が低下する原因となっていた。この課題の解決と、今後も成長を続けるLCC需要を考慮し、T3の段階的な拡張計画を進めることとなった。

混雑の原因となっていた動線の交錯を解消するため、到着動線を切り離すべく到着ロビーを拡張、さらに増加が見込まれるLCC需要に対応するため、隣接していた貨物上屋を撤去し、ターミナルエリアの拡張を行った。
自動チェックイン機や自動手荷物預け機の導入による出発ロビーの混雑緩和や、テナントの充実化によって、利用者の満足度向上を実現した。また、第2ターミナル側へ拡張したことによって、鉄道駅からのアクセスも改善することができた。

これらの整備工事を経て、T3の年間取扱旅客数は供用開始時の2倍となる1,500万人の規模に達し、首都圏のLCC需要を支える重要な旅客施設となっている。

変化し続ける環境に対応し、
想像を超える空港づくりを目指す

「more than 2 into 1(複数の機能をひとつに集約する)」をコンセプトに様々な工夫を盛り込んで整備されたT3は、空港の新たな価値創造につながるデザインが評価され、2015年に「グッドデザイン金賞」を受賞した。一方、ローコストターミナルであるが故に、無機質でインダストリアルな意匠についてはネガティブな声も寄せられ、旅行体験を阻害する要因となっていた。

そこで、T3のLCC利用者の中でも、より訴求力の高い若年層(ミレニアル世代・Z世代)が持つ新たな価値観に着目した。「Make Terminal 3 Vivid(第3ターミナルを鮮やかに)」をテーマに、T3内の各所にアーティストによる作品やデザインを取り入れたこの取り組みは、空港での体験を旅行の一部として記憶に残してもらうため、社会的なメッセージ性を込めたアートを用いた空間演出を企画した。

常に変わり続ける環境の中で、“成田空港第2の開港プロジェクト”を見据え、社会や地域の持続的な発展に貢献し、より魅力的な旅行体験を生み出す空港を目指し、建築系技術者の挑戦は続いていく。

建築系のジョブローテーション

旅客ターミナルビルという建物は、社会環境や国際基準、旅行者のニーズなどの変化に応じて、必要とされる規模や機能が変化していく。建築系社員には、そうした建築施設の計画から設計、建設、維持管理、改修まで、すべての過程に携わるため、空港運営の知識と建築技術者の知識を高いレベルで兼ね備えることが要求される。そのため、約2~3年のスパンで以下の各部署を歴任することになるが、建物の誕生から成長、そして再生までトータルに向き合えるのは、この仕事ならではの大きな魅力と言える。

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